世阿弥と起承転結

12月 24, 2012
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4通バージョンの編集、すすんでいますか?

 

「まとめてみたけど、なんかモノ足んネー」と感じるのが普通です。

 

読者のつもりで通読してみて、「ものたんねー」と思わなかったら、

それは本当に優れたシナリオなので安心してください。

 

で、大方の人が物足りなさを感じた理由は一つです(と思います)。

 

それは、物語性の欠如です。

 

これを解消するポイントは、「承」を広げていくことです。

 

ロングバージョンのところで触れましたね?

今回は、これについて補足しておきます。

 

 

日本史で習った、世阿弥の『花伝書』からの引用です。

 

<ここから>————————

破(=承)というは、序(=起)からさらに、

細やかに色を尽くし、詳しく事を表す姿なり。

<ここまで>————————-

 

花伝書は起承転結ではなく「序」「破」「急」の

三部構成を説いていますが、おんなじです。

 

「起」(序)で提起された問題を本質的に解決するために、

「転結」(急)、つまり、変化と完結に至るまでの、

様々な葛藤を描いているのが「承」(破)です。

 

葛藤を、「細やかな色で詳しく表す(描写する)」のが、

まさに承の役割といえます。

 

すると、最小の4通バージョンでは、

描写仕切れていないシーンがあることに気づきます。

 

これをキチンと書き上げいくのがロングバージョンです。

 

4通構成の段階では、「承」のパートを一通に集約(洗練)させていきましたが、

ここを細やかに描写するということです。

 

「承1」「承2」「承3」・・・という具合に、展開するわけですね。

たとえば、「承」を5つのパートに分けて描写していけば、

「起」「承1」「承2」「承3」「承4」「承5」「転」「結」と8通になります。

 

花伝書に対応させると、

 

「起」「承1」・・・序

「承2」「承3」「承4」「承5」・・・破

「転」「結」・・・急

 

 

そのまんま、映画の三幕構成(対立/葛藤/変化)にも対応します。

 

「起」「承1」・・・対立

「承2」「承3」「承4」「承5」・・・葛藤

「転」「結」・・・変化

 

 

こんな感じですね。

 

起承転結というと何か古くて使えないものと思われがちですが、

未だに物語の編集における発想の基点となっています。

 

これを超えるものがなかなか現れないのです。

 

強いて挙げるなら、

シド・フィールドの「ハリウッド脚本術」あたりが思い浮かびますが、

これとて起承転結で物語を編集することに慣れておくことで

すんなりと取り入れることができるわけです。

 

なので、キッチリやっておくと本当に使える技術なんで頑張ってください!

 

最後に、4通バージョンから始めておくことの意義を再確認しておきます。

 

いずれロングバージョンにするなら、はじめからロングで編集すりゃいいんじゃないの?

と思うかもしれませんが、そうではありません。

 

起承転結の各パートの役割を強く意識しながら、

情報を最小構成の4通に集約(洗練)させる訓練を積んでいくと、

頭の中に「起」「承」「転」「結」の

『箱』が出来上がってしまうのです。

 

そのうえで、「承を広げてロングに展開したほうがベターだな!」

というような正しい選択をすることができるのです。

 

もちろん、4通バージョンで物語性溢れる優れたシナリオが出来てしまえば、

無理にロングにする必要はありませんよ。

Updated: 12月 24, 2012 at 3:18 pm