起承転結とカタレプシー

12月 18, 2012
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今回は、「起承転結とカタレプシー」についてお話します。

 

「カタレプシー??」

 

はい、知らなくて当然です。

知っている人は、かなりマニアックです。 笑

 

カタレプシーというのは医学用語です。

肉体的に一定の姿勢をとらされると、その姿勢を自らの意志で変えようとせず、

長い間そのままの状態を保ち続ける症状のことをいいます。

 

誰でも見たことのある事例で説明しましょう。

 

小泉元首相が北朝鮮を訪問したとき、出迎えた金正日と

固い(?)握手を交わすシーンです。

 

このとき、小泉さんは軽い「カタレプシー」に陥っていました。

もし当時のビデオを持っていたら、確認してみてください。

 

小泉さんは真っ正直に握手を求めに行きました。

 

けれど、金正日は違いました。

ほんの1、2秒のわずかな時間ですが、交わす直前に手を止めていたのです。

 

その間、小泉さんの手は宙ぶらりんでした。

 

人間の脳は、「一連の動作は全てワンセットである」と、思い込む癖があります。

握手も一連の動作として、脳にインプットされています。

 

自分が普通に手を差し出して、相手の手も自分に向かってくるのを真正直に待っていたとき、

もし相手が握手をしないで途中で手を止めたり、引っ込めたりしたらどうでしょう?

 

誰だって、自分の手は差し出した状態でとまってしまうはずです。

この止まってしまった状態の事をを、カタレプシーと言うわけです。

 

両者の手と手がガッチリ交わされるまでを一連の動作として記憶している脳は、

それが途中で翻されると混乱してしまいます。

 

注意深く観察するとよくわからるのですが、このときの小泉元首相も

一瞬固まってしまいました。

 

カタレプシーによる混乱状態に陥っている瞬間に、相手が何かを囁いたとします。

本人の表面的な意識とは無関係に、脳はその暗示を強烈に記憶してしまうことが

催眠療法家のミルトン・エリクソンなどによって証明されています。

 

ここまではよろしいでしょうか?

 

 

では次に「起承転結」です。

これも一度は見聞きしたことがあると思われる起承転結の典型例で説明します。

 

(起)京の五条の糸屋の娘

(承)姉は十六、妹(いもと)は十四

(転)諸国大名は弓矢で殺す

(結)糸屋の娘は目で殺す

 

意味が分からん、という人はいないでしょう。

 

この有名な句が面白いのは、「転」の利かせ方です。

 

糸屋の娘の話がどんどん広がっていくと思われたのに、いきなり諸国諸大名の話が飛び込んできます。

つまり、予想される範疇の一連の動きが裏切られるわけです。

 

すると、読み手の脳は微妙に混乱します。

そこを、「結」でオチをつけて、解放させているのです。

 

解放された脳は、安心します。

ここにも、カタレプシーに近い心理作用がはたらいているといえるでしょう。

 

したがって、「転」から「結」へ移行する段階で、何らかの『暗示』をしておくことが有効とされます。

その暗示は、「あなたの悩みを解決するには、次回紹介するものしかないでしょう」でもいいし、

販売したい商品をチラ見せするのでも良いです。

 

さて、カタレプシーを有効に利用するためには、起承転結のどの部分に力を入れたらよいでしょう?

当然ながら、「転」はきわめて重要なポイントです。それはご理解いただけると思います。

 

けれど、「転」をいくら凝ったところで、リアリティが欠如していては話になりません。

 

結論を言えば、「承」で物語をいかに膨らませていくか、ということに配慮すると良いです。

 

「承」はご自身なり、第三者のエピソードを交えながら、どんどんストーリーを一定の方向に

展開する役目を担っています。

 

読み手がそれを、我身に置き換えて読み進めてもらえるようになれば「合格」です。

 

読み手が自分自身のことだと、ある意味錯覚しながらストーリーに引きずられているからこそ、

「転」の段階でカタレプシーに陥ると、固まってしまうのです。

 

だから、「承」というのは、「転」ないし「カタレプシー」をお膳立てする重要な役割を担っています。

このとき、読み手の脳内は、小泉元首相とおんなじように、

片手を宙ぶらりんにさせた状態です。

 

引くに引けないのです。

 

そこで、「これだよ!」と本命(「結」)に導いて、ガッチリ握手を交わしていくという寸法です。

 

なんとなくイメージわいてきましたか?

 

実際にこの通りに編集できるかどうかは今後の取り組みしだいなんで、

まずは、「そういうことか」とイメージを持っていただければ十分です。

 

ついでにいうと、編集方法は「起承転結」だけではないし、「カタレプシー」を利用したものだけでもありません。

 

しかし、これらを一応使えてるね!という段階まで上がっていただけると、

見える世界が変わってきます。

 

すると、そこからさらに色々な編集のアイデアが生まれてきますし、使えるようにもなってきます。

 

ただし、どんなアイデアや編集法で臨もうが、「物語化」については、常に意識しておくべきです。

Updated: 12月 18, 2012 at 1:51 pm